2011年6月10日金曜日

万葉集 第141~145歌 (巻二・挽歌)



自己設定目標:

  1. 「万葉」とは「よろづのことのは」か「万世(よろづのよ)」か?
  2. 「挽歌」とは何か?
  3. データベース利用の試み


参考資料:

  1. 仙覚全集(万葉集叢書)臨川書店 1971
  2. 万葉代匠記 第1巻 早稲田大学出版部 1925
  3. 万葉集 鶴久・森山隆 (株)おうふう 初版 1972
  4. 万葉集一・(日本古典文学大系) 高木市之助・五味智英・大野晋 岩波書店 1957
  5. 万葉集一・第1巻(新 本古典文学大系)  佐竹昭広・山田英雄・工藤動力男・大谷雅夫・山崎福之 岩波書店 1999
  6. 「日本人はるかな旅」展 国立博物館バーチャル展示室 http://www.kahaku.go.jp/special/past/japanese/ipix/index.html 2001
  7. 万葉集総索引 (CD-ROM) 古典検索刊行会編 塙書房 2009



自己設定目標についての結論:

 万葉集:
  1. 「万 葉」には、「よろづのことのは」と「よろづのよ」の二つの意味が込められている。 万葉集の歌集名には「後世を含め、身分を問わず、あらゆる時代のすぐれ た歌を集め、『倭(やまと)の精神遺産』の記録としての歌集」の意味と希望を持たせたものと理解できる。 (発表内容1
  2. また、「よろづのよ」には、倭(やまと)言葉表記・倭(やまと)歌の形式の確定に参画した渡来人・帰化人・その二世以降の「倭」での活動が文化的により重要であった、東アジアの人々と「倭定住民」との協力の、万葉編纂以前の時代をも含むとの意識も含まれていた。 (同上)
  3. 「挽 歌」は、「柩(ひつぎ)を引くときの歌」の原義より、より広い意味を持つ「部立て」の名称とされた。 万葉集編纂者の頭には、文字化ができず収録に失敗 し、あるいは政変の中、失われた万葉集以前の膨大な歌と、倭(やまと)言葉表記システム確定の過程での「文字化の規則」の、記録として残っていない記憶が ある。 挽歌とは、これらに関与した人々について、その正当な評価の気持ちも秘められていると理解できる。 (発表内容2
  4. 記 紀と同様に、万葉集には権力(天皇制)正当化の側面を持つ。 同時に、意識されてはいないが、はっきりと表明されている「権力および権力による抑圧への批 判と抵抗、東アジアの中の「倭(やまと)」の意識、民族的精神遺産保存の主張、歴史の中で失われた歌への挽歌、平和と自由への憧れ」などの諸側面がある。  (発表内容3
  5. 柿本人麻呂は、その精神を持っていたからこそ、処刑の運命を担うことになった。 あるいは、少なくとも自身の最後を知ることのできない立場を受け入れた(巻三・第264歌)。 (発表内容6
  6. 人麻呂の歌は、現代でも最も人間らしい、人間の尊厳を自身の運命の上に置いた精神の反映である。 人麻呂を重視した万葉集もまた、その精神を重視しているといえる。 (同上)
  7. 万葉集の源流は西にある。 さらに、その源は人類発生につながり、ヒトのDNA・諸文化の流れの中で、日本語や記紀・万葉などの古代記録は誕生した。 記紀・万葉などの文字記録は、日本人、日本語の誕生にも関する課題をも提供している。 (発表内容7



 データベース:

検索可能なデータベースを積極的に利用するべきであると同時に、学会として古代記録や各種研究のデータベース化を組織的に拡充するべきである。 (添付資料)

(伝統と文化を守る国の立場から、歴史・考古学などの隣接諸科学をも含めた国文学研究予算を拡充するべきである)

 その他:

宮 内庁管理の「古墳を含めた諸歴史遺産」研究の制限をはずすべきであり、歴史資料の隠匿・改ざん・破棄などを許すべきではない。 北京原人の頭蓋骨は、対中 侵略戦争の中で日本軍が関与した過程で失われた。 戦争は、人間だけではなく、文化遺産をも破壊する。 植民地支配・侵略戦争の結果である略奪文化財は、 それを生んだ諸民族に返却するべきであり、それが自民族文化を大切にすることでもある。

日本の考古学の分野では、少なくともエジプトのレベルまでは追いつくべきである。


発表内容:

  1. 「万葉」は「万の言の葉(よろづのことのは)」か「万世(よろづのよ)」か?
  2. 「挽歌」とは、何か?
  3. 人麻呂と万葉集は、挽歌で何を傷んだのか?
  4. 万葉集の歌は、歌として完成した形を持っている
  5. 万葉集以前の歌は、どういう歌であったか?
  6. 人麻呂は、どのように歌の技法をみがき、倭(やまと)歌を発展させたのか?
  7. 万葉集は、その源流をどこに求め、どんな課題を提供しているか?
  8. 万葉集は、失われた歌への挽歌、抑圧への抵抗、自由へのあこがれの詩集である
  9. データベースについて(添付参考資料参照)

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